社員が会社を辞める理由
退職理由でもっとも多いのは?
自社社員の離職率が高く、対策を立てたいと考えているが、思いつく限りの施策を実施しても退職していく社員の数が減らない・・・と悩む会社経営者は多いようです。社員が会社を辞める理由には、いったいどんなものが多いのでしょうか。
ここで、「en人事のミカタ」に掲載されている、1,500人のエン転職会員に対して行われた、退職理由に関するアンケート結果をご紹介します。まず「会社(人事)に伝えた退職理由はホンネと異なるものでしたか?」という質問に対して、「はい」と答えた人は実に47%。約半数が本当の理由を伝えていないことがわかりますね。
そして、会社に伝えた退職理由として多かった上位3位回答は以下の通りです。
- 1位 結婚、家庭の事情
- 23%
- 2位 体調を崩した
- 18%
- 3位 やりたい仕事内容ではなかった
- 14%
さらに、退職の本当の理由として挙げられていた回答の上位3位をご紹介します。
- 1位 人間関係が悪かった
- 25%
- 2位 評価・人事制度に不満があった
- 12%
- 3位 給与が低かった
- 11%
本音回答の退職理由を見てみると、なぜ会社に言いづらかったのかがわかる気がします。ここで企業側が知っておくべきことは、社員の退職理由には本音と建前があるということ、そして本当の理由を知らなければ離職率改善にはつながらない、ということです。
離職率が高い会社の特徴
離職率が高い会社には、共通して以下のような特徴があります。ザッと見てみましょう。
- パワハラ、セクハラ、モラハラなどのハラスメントが常態化している
- 長時間労働やサービス残業が多く、1人あたりの業務量が適切でない
- 人材育成が行われず、社員は仕事上で成長している実感を持てない
- 上司や同僚とのコミュニケーションがうまくいっておらず、相互不信が生まれている
- 人事評価システムが機能しておらず、社員は達成感や充実感を得ることができない
- 同業他社と比較して給与が低く、待遇もよくない
- 事業戦略が共有されていないため、社員は目標を持って働くことができない
- 個々の仕事内容や責任の範囲が明確でない
日々の労務管理や財務管理など、経営上必要な雑務に追われる経営・人事側からすると、上記のような状況が生まれたとしてもある程度は仕方ないと思うかもしれません。しかしこんな会社で毎日働くことを想像してみてください。自分の将来を考えるなら、いつ退職してもおかしくないですよね。逆に、自ら退職の意志を伝えられる社員はまだマシで、このような状況が続いたためにすべての気力を失い、辞めることもできない社員もいるのです。
こうした状況は、社員にとっても企業にとっても、いいことは1つもありません。一刻も早く改善すべきポイントを明確にして動き出すべきでしょう。
離職率低下を目指す!見直すべき制度・取り入れるべき制度
離職率を下げ、社員にとって風通しのいい職場環境を構築するためには、上記に挙げたような状況を1つずつつぶしていく必要があります。具体的にまず行うべきは以下の3点です。
- 社内のコミュニケーションを活性化させ、相互の不信感をなくす
- 労働環境を改善し、福利厚生を充実させて待遇をよくする
- 従業員のストレスチェックを定期的に行う
この3点を実行することができれば、多くの社員にとっての離職の原因を排除することができ、その会社の職場環境は大きく改善されるでしょう。しかし前項で挙げたような特徴を持つ企業には、そういう環境ができてしまった理由があります。つまりそれがその企業の「風土」になってしまっているということ。風土化したものを変えるには、組織全体が変革に向けて共通認識を持って動く必要があります。
これは企業が自分で自分の体にメスを入れるようなものなので、組織改革のプロが社内にいるといった特殊な状況でない限り、企業内で行うのは難しいかもしれません。いずれにしても、組織改革には時間と予算を割かなければならないので、できるだけ着実に遂行するためには、組織改革のプロである外部のコンサルの力を借りることも視野に入れてみてください。